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2024.06.17

不要な土地の押し付け合いがなくなる?相続土地国庫帰属制度の概要について弁護士が解説!

 相続した遺産の中には、遠方に存在する、買い手が見つからない、有益な活用方法を見出しづらいといったことを理由に土地の引き取り手が決まらないために放置されてしまうことがあります。実際に当事務所の弁護士が担当した事案でも遠方の山林などを誰が相続するかなかなか決まらないことがありました。

 土地を未分割のまま放置することによって、次の世代が相続問題を引き継ぐことになり、また土地の管理責任などを理由として損害賠償請求されることもあり得ます。また、放置された土地は相続登記されないことも多く、将来の所有者不明土地を生み出す土壌となっております。

 そのような背景から相続登記の義務化(相続登記の義務化に関してはこちらのページで解説しております。)と併せて相続した土地を国に移転させる(国庫帰属)制度が新設されました。どのような場合に土地を国庫に帰属させられるか、国庫帰属に伴う費用負担等について解説します。


1 申請の要件

 土地が国庫に帰属した後も、土地の管理には費用がかかります。また、当該土地に何らかの制約がある場合、利用・処分が困難になるため、申請できる者と土地が制限されています。

(1)申請人

 相続または遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により土地の所有権の全部または一部を取得した者です。相続した土地が共有地の場合にも、共有者全員での申請で可能となります。この場合、共有者が相続以外で所有権を取得していたとしても、共有者の中に相続により取得した者がいれば申請することが可能となります。

(2)土地

 以下のいずれかに該当する場合は申請できません(却下事由)。

  ①建物の存する土地

  ②担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地

  ③通路その他の他人の使用が予定されている土地土壌汚染がある土地

  ④境界不明土地その他所有権の存否・帰属・範囲について争いがある土地


2 国庫帰属が承認される土地

 国は申請がなされた場合、調査等を経て以下のいずれかに該当しない場合には承認しなければならないとされています(不承認事由)。

  ①崖がある土地のうち管理に過分の費用・労力を要するもの土地

  ②土地の管理・処分を阻害する工作物などが地上に存する土地

  ③除去しなければ通常の管理・処分ができない有体物が地下に存する土地

  ④隣接する土地の所有者などと争訟によらなければ通常の管理・処分ができない土地

  ⑤①~④に掲げる土地のほか通常の管理・処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地


3 申請者の費用負担

(1)手数料

 申請するにあたり、承認申請に係る土地の一筆あたり1万4千円が手数料としてかかります。

(2)負担金

 申請が承認された場合、承認通知および負担金の額(国有地の種目ごとにその管理に要する10年分の標準的な費用の額)の通知が国から届きます。通知を受けた日から30日以内に負担金を納付する必要があり、この期間中に納付されない場合は承認の効力が失われますので注意が必要です。

 負担金の額については、以下のとおりとなります。

 ◎宅地及び田・畑については面積にかかわらず20万円。ただし、一定の市街地の宅地及び農用地区域等の田・畑については面積に応じて算定。

 ◎森林については面積に応じて算定。

 ◎その他の土地については面積にかかわらず20万円。

 なお、負担金は一筆ずつ算定されますが、隣接する土地が申請された場合には特例が設けられています。


4 承認の取り消し及び損害賠償請求

(1)承認の取り消し

 承認後にその要件を欠くことが明らかになった場合、国は申請地について調査権限を有しており、その結果を踏まえて承認されているため、制度に対する信頼を考慮すれば基本的に承認の取り消しはされるべきではありません。

 しかし、申請者が「偽りその他不正の手段」によって承認を受けたことが判明した場合、申請者を保護する必要もなく、国が負担して当該地を管理していくのも妥当でないため承認を取り消されることがあります。例えば、浄化槽などの地下埋蔵物があることが分かっていたのに申告せずに承認を受けた場合、本来なら地下埋蔵物がある場合には承認要件に該当しないため不承認とされるべきであったため、承認の取り消しがされる場合があります。

(2)損害賠償請求

 事後的に判明した却下事由又は不承認事由により国が被った損害について申請者に請求するべきではありません。しかし、上で述べたように申請者が承認当時に申請却下事由等が存在することを把握していたのであれば保護する必要がないため、国が被った損害を請求されることになります。


5 まとめ

 相続後に取得希望者がいないために未分割となっていた土地について、相続土地国庫帰属制度を利用することで未分割の遺産分割が解決するかもしれません。

 遺産分割を放置していると、相続人が増えてより解決が困難になる、相続登記の義務化によって罰則を科されるなどデメリットが多いです。処分困難な土地、相続人が多数人存在するといった困難な相続についても当事務所対応しております。また、当事務所は引き取り手の少ない土地の処分を得意とする不動産仲介会社とも提携しておりますので、相続についてまずは初回無料の相談をご利用ください。

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弁護士 田口博貴

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